[PR] 入院 東京 作品置き場 ... 揺れ動く心 byオクヤ
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Fateのファン作品置き場(ただし、BL要素多大に有) CPとしては弓士中心。 (時々碧羅が槍弓とか、他のCPをかいています) 掲示板がわりにコメント書いていただけると喜びます。
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好きな気持ちは溢れるのに、カタチにするのは難しい。

最近エンスト気味で中々エンジンがかかりませぬ凹
所詮はナマケモノ、気長にのんびりとするしかないらしいのです。
なので、暫らくはリハビリで頑張ります♪

(続きにて 弓士 久々の不発★)

―――

それはまるで、雪のように降り積もる―――花。

「まったく、みんな散々飲み食いして―――」
花見をしよう。
そう言い出したのは、確か藤ねえだったか。
花見とは何ですかとセイバーが聞いて、遠坂が面白可笑しく脚色して答えた
のを、桜と一緒に苦笑いしながら黙っていたっけ。
「結局場所取りやら弁当やら、準備はこっちにさせて……でも、みんな喜んで
たから良かったけど―――」
過程はどうあれ良かったと、確かにそう思っているのに―――自然と零れた
溜め息に嘘は吐けない。
「何で、いなくなるかな。」
一人だけ、いつの間にか席を外していた男。
花見に行こうと藤ねえが誘ったとき、外面良く了承していたけど。
本当は行きたくないってこと、俺だけがその鋼の眼差しを見て分かっていた。
「―――その割に、弁当とか張り切って、ハンディカラオケ離さなかったのに
……ばか。」
雷画爺さんの渋い演歌で育った俺と藤ねえ以外、男の歌うコブシの利いた歌は
通じなかったようで、女性陣3名には些か不評だった気がするが。
そこは花より団子、気合いの入ったお花見弁当で餌付けされていた気もしない
でもない。

そんな終始賑やかで和やかな場が出来始めた途端、
ふとあいつはどこかへ消えてしまった。

分かってる、分かっているんだ。
あいつがまだ迷ってること、俺が戸惑っていること、俺以上にあいつは分かって
いるから、こうしてたまにいなくなる。
パスはあんまり繋がってないけど、居るっては分かっているから―――これまで、
干渉しないようにしていたけど。
「…………アーチャー、アーチャー。」
あまりにも美しい花の舞いに、不安が唐突に募って俺を苛み襲う。
心配ないと、分かっている。
俺がマスターである以上、あいつが……不本意ながらのサーヴァントである以上。
唐突に繋がりを消されることはないと、蜘蛛の糸より頼りなくともそれだけ
は信じてた。
だから一目だけ、男の姿を確認したら帰ろうと決めて探し出し。
見つけた後ろ姿を視界に捕らえた瞬間、踵を返す足は男の背中へと駆け出していた。

伸ばした掌が男の背中に触れたとき、俺は酷く後悔した。

「衛宮士郎……」
気配に気付いていたんだろう、不思議がることも不審がることもない声が、
責めているかのように聞こえた。
「おまえ、の……姿、なかった……からさ―――」
引き攣る声を隠せないまま手を離し、重力のまま落とした腕は拳を握り締める。
「そうか……」
男は責めることも咎めることもせず、再び背を向けて降る雪のような花を
見つめていた。
その儚い横顔から目を逸らし、立ち去ろうとした足を引いた瞬間。
「先程は、碌に花見も出来なかったからな。おまえも、静かな内に見ておく
といい。―――今は聴こえるだろう、花の散る音を……」
ザアッと、吹く風に紛れて聞こえた低音に足を縫い止められる。
何も答えることも、動くことも出来なくなった俺は、男の言葉に従い耳を澄まし。
「―――聴こえる、花の音が……聴こえてる、アーチャー。」
震えそうな声を辛うじて堪え、ありのままを伝えた。
男は無言だった、けれどその気配は先程までの張り詰めたさをなくしていた。
「―――っ!?」
息を飲んだ、そんなことあるわけはないのに錯覚した。
「そうか……」
幻想だと打ち消そうとした端から、男は現実だと諭すように小さく、確かに肯定した。
「そう、だよ……」
俺は夢ではないことを知りたくて、わざと声を上げたけど。
応答はそれっきりで、沈黙する互いの狭間を儚い花の響きだけが降り続けていた。
「―――」
俺は、花より音よりも感じたおまえの気配に胸を詰まらせていた。
それは本当に一瞬の、花散るより短く咲き綻んだ。

笑ったんだ。
微かに、おまえの笑う気配がしたんだ。
いなくなるのなんて、しょっちゅうだから、気に止める必要さえ、なかったのに
―――どうしてこんなに、不安に襲われているのだろう。




外は、快晴だった昨日が嘘のように土砂降りだ。
散り急ぐ花を見た後だから余計、せっかく咲いたのに雨天になる今が酷く耳障り
心許なさを煽る。
二人で聴いた、微かな降る音を打ち消して、容赦なく花を落とす無数の雫。
たったひと雨、それだけで多分花は散ってしまうだろう。
ずぶ濡れた木々の姿を、不意にあいつの背中と重ねてる。
そんなに柔でも、儚くもないと分かっているのに、時折脆く壊れそうな表情を思い出す。

『―――大丈夫だよ……士郎。』

気付いたら家を飛び出していた。
取るものも取らず、傘すら念頭になく雨の中を駆け出して、迷いなくあいつがいる
だろう場所へと辿り着いていた。
そうして見つけた姿に駆け出していた足がピタリと止まり、肩が上下して荒い呼吸
を継いでいた。
一面の薄紅。
絨毯のように広がる散った花の真ん中で、男はやはり傘もなく立ち尽くしていた。
どれほどそこにいたのか。
滴る雨水に張り付いた前髪は、いつかの朝日に立った姿に重なり胸を締め付ける。
俺は不規則な呼吸のまま、大股で足早く歩み寄る。
「衛宮……士郎?」
虚ろな眼差しを向けてくる男を睨み付けながら、雨に冷え切った太い腕を掴む。
そのまま男の腕を引いて、帰るぞと言うのは簡単だった。
覇気のない男は、目の前のマスターの指示に大人しく従うだろう。

でも今は、そうしたくないと思った。

「花の、音……聴けなくなったな。」
代わりに、昨日の名残を惜しいのだと伝え。
「―――来年また、一緒に……聴けたらいいな。」
そうして望んではならい願いを口にして、男の瞳に鋼を宿すことに成功した。
「衛宮士郎……オレは―――」
「あ~、びしょびしょだ。帰るぞアーチャー、いくらサーヴァントで風邪引かない
からって、この雨の中突っ立ってたら不審者に思われる。」
男の言葉を遮って、俺は逞しい腕から手を離し背を向けた。
雨のせいではなく震える身体を悟られぬよう、足早に来た道を戻り。
背後からついてくるはずの男の気配が、やけに大きく感じて振り返り驚いた。

「アー、チャー……?」

震える肩に覆い被さるように、背後から男の腕が俺の胸の前に交差していた。
「…………」
男は何も言わず俺を抱き締める。
「…………」
俺も、何も言わずに抱き締められる。
降りしきる雨と花弁に濡れながら、俺はゆっくりと目を閉じ身を委ねた瞬間。
「ッ……士郎―――」
苦しげに囁かれた名と共に、背中に感じていた温もりが離れてゆく。
突然の喪失に対応出来ず、凭れていたせいで後ろに倒れかけ、バランスを
取ろうと咄嗟に前のめる身体。
けれど重心を前に取り過ぎて、今度は前へとふらつき。
「チッ―――!?」
男の大きな掌が、とっさに俺の腕を掴むけれど、膝を挫いて水たまりを
跳ね上げていた。
「馬鹿者、しゃんと立てんのか貴様は―――!?」
そう怒鳴られて、慌てて立ち上がり反論を口にしかけ。
膝は伸びるどころか戦慄くまま動けず、唇は小刻みに震えて言葉を紡ぐことが
出来なかった。
「衛宮……士郎―――?」
一向に動きも、声を発しようとしない俺を不審に思ったのだろう。
取った腕をそのままに、しゃがみ込み俺を伺うおまえの目が大きく見開かれる。
「おまえ―――!?」
その鋭く鋼に、不覚にも見惚れた俺の頬を大きな掌が包み込む。
「アーチャー?」
苦い物を口にしたように眉をしかめ、触れてくる男の掌。
それで俺はやっと、頬に流れる雫の熱さに気付いた。
「あ、れ?」
雨に濡れてるだけかと思っていたのに、今は目頭が焼けるように熱くて涙を
零している。
「なんでさ?」
「それは……オレが訊きたい。」
惚けたように呟いた俺へ、男は溜め息ひとつ零し。
「う、わっ!?」
俺の腕を引っ張り上げ、無理やりに立たせた。
「帰るぞ……いくら貴様が傘も持たずに雨の中を走る馬鹿でも、風邪くらいは
引くかもしれん。」
今思えば酷い言い草で腕を掴み、先を歩く男の背中を俺はぼんやりと見つめ。
「引くかよ、ばか。」
強がりで悪態を吐けば、腕を掴む掌の力がほんの少しだけ優しいものになって、
それまで物凄い強さで掴まれていたんだと気付いた。

見慣れた家路を、降りしきる雨の中で肩を並んで歩いていた。

言葉はなく、掴まれた腕も離されていたけれど。
歩調の違う足並みだけは何故か、ゆっくりと揃っていたんだ。




「やっぱり、散っちまったか。」
見上げた空の青さに、淡い薄紅色の花弁は目に見えて少なくなり。
ついこの間の花見での満開の桜は、夢幻のように遠い出来事みたいに思えてしまう。
雨の夜の出来事も、まるで水に流されるように遠く虚ろだ。

結局あの後、俺は体調を崩した。

けれど熱が少しあってふらつくくらいで、放っておけばすぐ良くなったので大した
ことはなかったけれど。
「珍しくいなくならないと思ったら……こういうときだけサーヴァント然するな
―――ばか。」
居ないことを確認して文句を言えば、途端自分の不甲斐なさにしゃがみ込み、
額を膝に押し付ける。
その額に、今でも思い返せる感触が胸を締め付ける。
俺が熱に魘されて気付いてないとでも思っているのだろう、放っておけばいいのに
冷えたタオルで汗を拭うおまえの大きな掌。
「アーチャー……俺は、おまえが―――っ!?」
酷く傲慢で我が儘な言葉を吐き出しそうになって、慌てて飲み込んだ。
自分が望んだ願いを、男も望んでいるわけはない。
それでも願わずにはいられないのは、俺の偽れない強い気持ちを自覚しているからだ。
「す、き……なんだ。アーチャー、おまえが好きなんだ。」
そんなことは許されない、罪なことだと分かっていても止まらない。
「好きで、ごめん……離してやれなくて、ごめんな。」
引き留めた俺の罪、おまえはただ子どもの我が儘に付き合っているだけなんだ。
「アーチャー……ごめん、でも好きなんだ。―――好きで、消えてほしくなかったから!!」
照らす陽の暖かさが痛みに突き刺さる。
けれどこの痛みは自分のだから構わない、おまえが同じような痛みに耐えていることが
ないなら、こんなのどうってことない。
けれど今は、いつも通りにどこかへ行った男に感謝しながら弱音を吐露する。

春は優しく、俺の罪を容赦なく突きつける。
その痛みに慣れるまで蹲り、顔を上げられるようになればきっと、俺はまた我が儘な
子どもの顔で祈り続ける。

「幸せに……おまえが、幸せになれますように―――なって、ほしいのに……」

二人で過ごす最初の春、それは温かさからは遠く……とおく。



(すみません、またしても勘が鈍っております凹)
(契約後のぎこちない弓士系?微妙にオフライン「絆紬」の前哨戦か?)
(最近、切ないメロディに凝ってる影響が大です。―――音楽は、良いですね☆)

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